チャプター4 : 夜飲み歩く人=感染の時代は、もう終わった。
もう、大切な人がガンや病気になっても、手術してもらえない。
—-緊急事態宣言が全国各地で発令されてるけど、
前回の去年3月に出た時と比べるとマンネリ化して、雰囲気がかなり違う印象。
医療現場はやっぱり違うよね…
状況は、悪い方向にしか行ってないよ。
市内じゃない救急車も普通に来るし、でも軒並み断わらざるを得ないし。
もう普通の病気にすらなれない時代になっちゃったなって…。
ここまでのことは9月〜10月まで起きてなかったんだよね。だからそれ以降、医療者は意識がかなり変わったと思う。
—-近しい医療現場で働いてる人から、今こうやって状況を聞くから自分事として捉えられるけど、
ニュースや報道だけ見てると、正直他人事になっちゃうと思うんだよね。
そう。他人事になっちゃうよね。
でも今、例えば、自分が道を歩いてて、車に惹かれて心臓が止まりそうな大事故に巻き込まれたとして。
自分は悪くないのに。
それでも救急車に運ばれて病院が見つからない可能性がいまあるってこと。
自分の大切な人が、コロナ関係なしに、ガンになったり病気しても手術してもらえない。治療してもらえない。そのまま家で死んじゃうかもしれない。って事態にもうなってるよ。
—-それって夏頃によく言われたことだけど…現実になってるんだね。
いや、もうぜんぜんなってる。そういう世の中だよ、今。
感染しちゃったことを責める時代ではない
—-もう「誰がなってもおかしくない」状況になってるってことだよね。
いやほんと、もう本当に気をつけてたのに!って人もなってるから。
週に1回スーパーしか行ってないとか。家族以外の人に数ヶ月あってないって人とか。
感染しちゃったことを責める時代ではないと思う。
—-感染者=夜飲み歩いてるってイメージが強いけど?
ちょっと前まではそうだったけど、今は違う。
この冬から、どこで感染したんだろうって人がかなり増えてきた。
やっぱ感染すると叩かれるから、みんな言わないよね。
自分の行動履歴を正直に言わないってことも出てきてくるから、知らない所でバッと感染者が増える原因にもなる。
だから感染=悪とするのはどうなのって思う。
感染した人の中には夜遊びまわってた人も全然いるし、まじむかつく!って思うこともあるけど
病人に対して平等に医療をしてるし、世間の人も病人に対してそうであってほしい。
だって病人って弱者だから。お年寄りとか赤ちゃんとか一緒で、等しく罰する気持ちはない方がいいよ。
チャプター5 : 自粛は「無理」。だから、今できること
一般の人たちに「自粛しろ」って言っても、無理なんじゃないかなって思う。
—-あるかわからないんだけど…一般の人に言っておきたいことってある?
「家出るなー」とかでもいいし。
「家出るなー」は、無理な場合もあるから一概には言えないけど、
流行してない地域ならまだしも、、娯楽のために出るのは、、そろそろ、、。
—-最近だと、「若者に対して政府は当たりが強いけど、自粛したことに対して何も報酬がないし、我慢の限界だ」っていう記事がバズって共感を得てて、私も正直そうだよなって思ったんだ。
そうだよね。
医療現場にいる自分も、いつまでこの生活が続くんだろうってすごく思うし。
ただ私たちは現実を知ってるからいいけど、一般の人たちはもっと自粛生活は大変なんじゃないかなって思うんだよね。
現実を知ってたらしょうがないって思えるし、自粛しようって思える。
だから一般の人たちに「自粛しろ」って言っても、無理なんじゃないかなって思う。
—-1人での外食はリスクは低いから、良いって流れもあるけど、これはどうなんだろう?
うん多分良いと思うよ。そうやってお金を落としていくのが大事なんじゃないかなあ。
知り合いのお店潰れてる人もいっぱいいるし、
飲食は補助があっても難しいだろうし、飲食以外は補助ないし。
必要ないなら、検査をするな!
そうだ!これだけは勘弁してくれよって思ったことがある!
年末年始の帰省前で「陰性だから帰省しました」って人、めっちゃ多いんだけど、、
何考えてんの?って思うわ、ほんと。
—-あ〜〜〜
クリニックで「陰性か陽性か微妙なところです」って言われたからって
大きい病院に再検査しに来るんだけど、その人を見るために時間をかけなきゃいけないのが本当に勘弁してほしい。
—-そんな微妙な判定になることあるんだ!
うん。
「陰性だったから帰省します」って人もいるけど、そもそも検査って100%の確率で結果が出るものじゃないし
その時陰性だからと言って、電車に乗ったり、5分後に入った店で感染するかもしれない。
—-そういえば1年前くらいに「PCR検査」て言葉が一般的に出始めた頃、
検査にすごく時間がかかるって情報を見たんだけど、今流行ってる5分で完了!ってやつは精度どうなの?
唾液ですぐわかるのも、本当に意味あるのかなって思ってたんだけど…。
検査する人とか機関によるけど、そこまで精度は変わらないらしいし大丈夫。
ただ!さっきも言ったけど検査の確率は100%じゃなくて、
一定の確率で「偽陰性」っていって、陽性なのに陰性って表示されちゃうことがあるから。
そこをまず知らない人が多い気がする。
—-どこか行きたいから「陰性証明」が欲しいんだと思うけど、「感染者じゃない証明」にはならない。
そうだよ!それをどれだけわかってる人がいるのかって話だけどね!
検査を受けること自体は悪くないと思う。
だけどその結果を受けて「遊べる!」「帰れる!」って判断するのは別の問題。
医療機関によっては、信用ならないところもあるかもしれないし…
だから「陰性」の情報を提供してるクリニックは何を考えてんだって思う。
そういうビジネスなんだと思うけど。
—-そうなると「他が信用できないから、大きな病院で検査したい」って人が増えるんじゃないの?
めっちゃいる。めっっちゃいる!!
だから検査する必要ない人は、お願いだから検査しないでほしい。
同世代の子からLINEとかで「帰省前に検査したいです!」って来るんだけど、正直ツッコミたいもん(笑)
—-家族に会いたいの分かるけど、現状を考えるともう「そんな場合じゃない」ってところだよね。
あとがき:自分だけがいいでは、コロナは収束しない
インタビューを終えて
よく、コロナに関わる人を「医療従事者」とひとくくりで報道されます。
ですが、みんな感情を持った「人」であって、精神的にも体力的にも疲労している中、戦ってくれていることを決して忘れてはいけない。
今回Kさんに取材をして、改めて、
ひとりひとりの行動を見直さないと、ひっ迫した医療現場の状況は変わらない。
むしろ悪くなる一方だし、コロナはなくならないんだなと実感しました。
医療現場に関わる人たちを労わりたい気持ちがあるのであれば、自ずと感染対策を進んで行えるはずです
この記事を読んでくださったみなさまの気持ちにすこしでも変化がありましたら幸いです。