チャプター2 : 延命措置を使っても、結局死に近づく「現実」
ECMO(エクモ)
正式名称は「体外式膜型人工肺(たいがいまくしきじんこうはい)」
重症者に使われる生命維持法で、”究極の延命措置”として活躍している機械。コロナ拡大で注目が集まっている。
「ECMO使っとけばよくね?」って言う医者・自治体。いい加減にして。
—-ECMO(エクモ)って、そもそもどんなものなの?
ECMOっていうのは、簡単に言うと「心臓や肺の代わりを一時的にしてくれる機械」なんだけど、何か治療してくれるわけじゃなくて、結局はただの時間稼ぎ。
動かしてる間に「本物の肺、頑張ってねー!治ってくださいねー!」って治るのをただ待ってるだけなんだよね。
肺の代わりだから稼働は24時間。良くも悪くも…2週間程度で外さなきゃいけないんだよね。
—-良くも悪くも?
実は合併症がめちゃくちゃ多くて。
脳梗塞、心筋梗塞、脚に血栓が出来て動かなくなるとか、コロナより重い感染症にもなる…。
2週間もするとそういうのが出てきちゃうから、それ以上は使えないんだよね。
—-患者にすごく負担がかかるんだね…。
「いっそ殺してくれ」っていう人もいるっていう記事も読んだ。
しかも、使用にかなり人員が必要らしいけど…
いや〜。ECMO1台に対しての人の掛け方がハンパなくて。
ECMOを扱える知識がある医者って基本的にそんないないんだよね。
200人医者がいたとしても、2〜3人しかいないんじゃないかな。
—-しかも全国で400台くらいなんだよね?
そう!普通は病院においてないよ!
だから有識者も少ないし、「臨床工学技士」がいないと扱えないし、
もうすさまじいマンパワーが必要な機械。
本当はもっと人手が欲しいけど、多数の人がICU(集中治療室)に出入りすることが感染のリスクになるし
最小限の優秀な人達だけで立ち回るから、結果その人達も感染する。
—-お、おもったより凄いね、ECMO……
問題は、それだけの医療資源を注げるリソースもないし、
使った結果が良いか悪いかも分からない物なのに簡単に「使えばいいじゃん」って言われてること。
コロナが流行するまで、ECMOを知らない人が多かったこともあって、
“究極の延命措置”って取り上げられるようになってから
「エクモってやつ?使っとけばいいんじゃないの?治るでしょ?」って思ってる人多くて。医者でも。
でも実態は全然違うし、合併症もあるから、患者一人ひとりに本当に使うべきなのか判断もかなり気を遣うし、最高の治療ではないからね。
そう思ってお金を出してる自治体も、何を考えてるんだって本当に思う。
チャプター3 : 見え始めた、後遺症のリアル
本当になる物じゃないなって思う。
—-コロナが流行する前、普段はアクティブで、旅行にもよく行くKさん。
コロナで行動に変化はあった?
12月ごろからは完全に出掛けられなくなったなー。
やっぱり実際に重症者を見てしまうと…他人事じゃないと思うし…
夏から秋までは高齢者の重症者をみることが多かったから
漠然と「高齢者って大変だな」「50代60代、親世代でもこうなっちゃうのか…」って思ってたけど
特に最近は20代〜30代、同世代が重症化してるのを見てるから自分事感がすごく強くなった。
しかも去年の春の感染者が出た頃から約1年経過するんだけど、
いわゆる後遺症の重症例がたくさん出てきてるんだよね。
そういうのをみると、本当になるものじゃないなって思う。
「若かったら重症化しない」っていうけど。重いのだと退院しても鼻からずっと酸素入れなきゃいけない人もいるし。
—-噂だと思ってたんだけど、髪が抜けたり、味覚や嗅覚障害が長期化するっていうのは?
全然いると思う。
医療者の中では、全身に血栓ができやすい病気って結構有名になってきてて。
脳に血栓ができたら脳梗塞になるし、心臓にできたら心筋梗塞になるし…
一回退院してもそれが原因で亡くなるケースも最近が出てきたね。